2017/03/01

太る

からだが太ってくると
心はその分やせていく

もくもくと脂肪がついてくると
その重さに
心は尻ごみして
ちぢこまってしまう
閉じてしまう

ふくよかに脂肪におおわれて
しあわせにみえたあなたが
いつしかその塊をぜんぶ脱ぎ捨てた

すっきりと
二十歳のような身軽さになって
今頃はきっと
春を待っているのだろう

春はあなたの大切な人が
一番愛した季節だから

真白い世界で
きびしい寒さのなか
しなるほど細く伸びた枝先には
ぷっくりと肥えた花芽たちを育てながら
雪に埋もれた時を耐えて
ただ春を待つ
老いた桜の木のように

眠れ眠れ
眠るんだ
わたしの重苦しい脂肪のなかの
ふてぶてしい罪よ

お前を眠らせ
わたしも
あなたのようになりたい
ひたすらに春を待つ
あのやせた桜の木のようになりたい

せめて
厚い重いコートを脱ぎ捨ててみよう
それから一歩
春へと歩きだそう
重い脂肪を眠らせる
この夜に

眠れ眠れ
眠るんだ
呪文のように繰り返す
引き返して目覚めたい気持ちと格闘する

からだが太って
やせてしまった心を抱いて
春を夢見る
猫みたいにちぢこまって
春を夢見て眠ろう




桜は特別な花


わたしにとって、桜は特別な花。
この国の春を象徴する桜は、その見事さや、散りゆく時の儚さに
自分の人生もかさねて、年一回の開花を心待ちにする人も多い。

わたしは、桜咲く町に生まれ育った。
子供ながら、春を待ちこがれた。
それは春の始まりであり、一年の始まり。
新しい人生の始まりのようでもあった。

毎年家族揃って、お花見に行った。
とにかく桜は見事だった。
出店の賑やかさや、大勢の人の行き交う様子にわくわくしながら
見上げる桜は、本当に夢のようだった。

父が病に倒れ、最後の桜は間に合わなかった。
桜のように、見事に散って行った。
家族に最後の良い思い出を、一瞬に残して。

桜のように、冬に枯れて、春に満開の花を咲かせるあの桜のように
わたしも、枯れていきたいと思う。
やがて、母のように、わたしも枯れていくのだろうと思う。

今は何やら、むくむくとして、重たい体を持て余す。
春、また桜の季節が来るというのに、しぼんだ心ではいけない。
三月。
明日から、かろやかになって、春を、桜の花を待とう。






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ありがとうございます
ちからづけていただけましたら しあわせです
平和な一日でありますように 

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