2017/03/13

絶対

好きになったら
絶対に嫌いにならない
そんなことはないのに

嫌いになったら
絶対に嫌い
一生嫌い
絶対嫌い
あの人はそういう人だよ
嫌われないように
頑張るんだよ

母がわたしに耳打ちする
ちいさい子供のときから
ずっと

嫌われたら終わり
一巻の終わり
絶対駄目
あの人には気をつけて

でも
やっぱり頑張れなくて
気に入らないことばかりして
嫌われる
母が振り分けてくれた人は
ずばり的中で
用心してないと
嫌われる
本当に予言のように
嫌われる

好きから
嫌いになったり
また好きになったり
大嫌いだったのに
大好きになったり
わたしの気持ちはふにゃふにゃで
絶対なんてなくて

だから
嫌われるのかな

もしかしたら
母もわたしのこと
嫌いだったかな
だから
自分に似ている人に
用心しろと
そういうことだったかな

好きになったら
絶対に嫌いにならないなんてことも
きっとあるんだろう
母や姉みたいな
つよい意志をもった人なら

いちど嫌いになったら絶対駄目
絶対嫌い
嫌われたらおしまい
でも

わたしはもう
何度も何度も
嫌われてる
きっと
母にも姉にも
何度も何度も嫌われてる
いやになるくらい
きっと嫌われてる

絶対のあとには嫌いがついてくる
ゆるさないとか
マイナスの言葉がついてくる

絶対は
絶対値みたいに
嫌いもゆるさないも
単なる符号にして
無くしてしまうんだ
絶対だけが残るんだ
だからかろうじて
まだ切り捨てられてないんだ

絶対は
神様の言葉だから
使ったら絶対だけが大きくなる
爆発的にふくらむ
絶対
と言った瞬間に
ばーん!と
胸のすくおもいがして
絶対の価値はそこで終わってくれたらいい

絶対に
それがいい

わたしは
絶対バカだ
嫌われても
嫌われても
嫌いになれない
これも絶対なのかな


絶対が飛び交う家


離れて暮らして久しくなると、何年かぶりかで帰省という親不孝の度に
父母、姉の会話には、厳しい言葉が多くなっていった。
帰省もままならない親不孝だから、仕方のないこと。
けれど、母だけは表向きは絶対こうしなさい、絶対駄目、と言いながら
母が察知した、わたしが嫌われそうな人物を特定して
あの人には嫌われないように気をつけなさい
などど言うのだった。

これが、きつい。
知り合って間もない人に、異常な緊張感をもって接していくのだから
必ず嫌われるのだ。
こちらは、嫌われているんだろうな、という疑心暗鬼だから
相手はたまったもんじゃなかっただろう。

家族のなかでは、傍若無人にふるまってしまい、減らず口をたたき
捨て台詞を吐き、ひとりでギザギザにとんがっていた馬鹿な時代があった。
だからこその助言だったのだ。
今ならわかる。
母にも姉にも、亡くなった父にも、弟にも、申し訳ない。

病気になって、心がひねくれて、自分か嫌いだった。
そうでなくてもコンプレックスのかたまり。
こうありたい自分なんていうものが、まったく実現できない意志の弱さ。
絶対なんて絶対にない、駄目なわたしは
まだ、みんなに心配かけて迷惑かけている。

母は、もう絶対と言わなくなった。
あのゆるさないと泣いた日を最後に
みんないい人ばかり、誰もわるくないんだよ
と、わたしに繰り返し言った。
誰かをとことん恨んだり憎んだりする根性もないわたしは、母の絶対が消えて
心底ほっとした。

母は、きっとわたしを嫌いだったろうな、とは思う。
でも、もうそれも消えたらしい。






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