2017/03/17

春の葬列

守られなかった約束があって
いまだ心とらわれて
離れず
あなたの影が追いつき
背後から
ずっしりと
おおいかぶさってくる

身をすくめる
立ち止まる

わたしは待っていた
わたしは
まだ
待っている

黒い影がわたしを追い抜いて
あなたが
微笑みながら
ゆっくりと振り返るのを

守れなかった約束に
縛られたままの心は
季節が巡るたびわたしを吸い取っていく

あなたは美しいまま
笑っているんだ
わたしだけ老いさらばえてしまうのだろうね
こうして

あの日あなたが
あの約束を果たし
あの日あの時
わたしのもとへ来てくれていたなら

讃美歌の声は突き抜け
清らかに明るく
悲しみを追い出そうとする
この大らかさはどうだ
このいたましい煌びやかさは

旅立ちという名の
封印
はなやかな
はなやかな
封印

葬列は
薬臭い百合の花の匂いがした
棺に
あなたはいなかった

これは全部
嘘っぱちだ
これは何かのお芝居なのだ
これは
これは

叫び出して目覚める
何度も何度も見慣れた悪い夢だ
春の命の営みがさんざめく
遥かな外界から
隠れる

雨戸の閉ざされた夜は
明けず
朝は遠く

明けない夜はないというんだね
あなたですら

そう
明けない夜はないんだよ
あれから
幾年が過ぎたのかさえ
忘れてしまったのだから
哀しみと喪失の残骸だけが残り
からっぽになった心は
もう忘れてしまえと言うのだから

春が来て
くり返し
ひなたの洗礼を受けて
じりじりと傷む皮膚をなだめながら
白い日傘をひらく

日傘は翳らず
隠れるところもなく
逃げ場所もなく
白い日傘をさして
狂い女のように
わたしも
春の葬列に紛れていく



守られなかった約束 守れなかった人


あの時こうしていたら、あの時もしもあの言葉を言っていなかったら。
絶望に近い後悔が、今もよみがえる。
運命はどうしようもなく、あらかじめ決められているのだろうか。
運命を信じていいほど、人間は無力なのだろうか。
若く美しいままに、旅立つ人に、わたしは全くの無力の存在だった。

もしかしたら、これも言い逃れなのかもしれない。
また会えることを信じて、ないがしろにしてしまった気持ちへの。
守られなかった約束もあった。
守れなかった約束も。
自分のお気楽さ、いい加減さ。
そして運命を、あたかも自分が変えてしまったかのような、思いあがりで
いまだに引きずっている感情を、いつまでも手放すことができない。

明日会いたい人がいたなら、今日会うべきなのだ。
会えないのなら、きちんと生きて、会うことがかなうその日まで
自分自身を高めるために時間を使うべきだ。わかっているのに。

春に旅立った人たちは、春に生まれていた。
だから、春を悲しんでいてはいけない。

いつからか、春は果てなく切ない季節になって
わたしを落ち着かなくさせる。
春を愛しむ想いがわいては、同じくらいに、悲しみも溢れる。
母のこれからのことをおもうたび、過ぎた後悔よりももっと
切なくつらくなるものが、ここにある現実に、打ちひしがれる。
ここで、母をおもうことしかできないから
天国で今は安らかな人たちに、祈りを捧げていよう。
感謝の心を伝えよう。

今年も、わたしは無事に春をむかえました。






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