2017/03/06

つばめが鳴いたよ

つばめが鳴いたよ

つちーつちーつちー

つよい声だ
明けきらぬ朝
どんよりと雨をふくんだ
重たい空に
高く響いた

たのしい夢をみて目覚めた
なにやら心はなやぐ
たのしい夢だ
真新しい仕度をして
なにもかもまっさらにして
そして
それから・・・?

つばめが鳴いたよ

つちーつちーつちー

目が覚めた
まだ半分夢のなか
こんなに臆病なわたしが

すべてが始まるこの時
心躍ってたこともあったらしい
たのしげな夢
あれから・・・

あれからわたしは
こんなにも弱っちい人間になってしまったよ
いつからわたしは
こんな弱っちい自分を
自分にゆるしているんだ?

つばめの鳴き声に
親鳥の威厳があった
はりつめた
すこぶるよい声だ
南の国はさぞ遠かったろう
間違えずに
この巣にもどって来たんだね
そして声高に伝えているんだ
親鳥らしく
しっかりしろと
このわたしに

つばめが鳴いたよ

つちーつちーつちー

あれから
一年が過ぎ
おまえらはこうして
命をつなげていくというのに
わたしは
あいかわらず臆病風に吹かれて
つまらぬさみしい考えをしているんだ

まっさらな
真新しい仕度をして
一等最初の気持ちにもどって
今日を生きるんだ
つばめの帰った
ここで

まっさらに心を塗りかえて
真新しい仕度をして
春の朝に
つばめの鳴き声が響く
ここに

よこしまな気持ちも
弱っちい自分も
臆病も
つばめの声に厳粛に
清められた
たのしげな夢のなか
心躍るわたしが
目覚める明日にも

つちーつちーつちー
つちーつちーつちー

つばめは鳴くんだ
しっかりしろと
きっと
またまっさらな
真新しい一日を始めるために
わたしを驚かすため

つよいつよい
すこぶるよい声で
つばめが鳴くよ



東京の燕たち


十年以上、一つの燕の巣を、毎年見守っていた。
ちょうど窓から見えるところに、その巣はあった。巣を作られた隣家は、大変に古く
二階家ではあったが、その天井の低さと、少し勾配のある土地の下側に建っていたことから
窓はまるで巣を観察するためにあるかのように、燕の巣の様子が本当によく見えた。

親鳥たちは、とにかくよく働いていた。
短い期間に、二組の子育てをするように見えた。
初めのひな鳥たちは、大急ぎで成長して、まだひわひわな様子のまま
巣立ちを迫られているようだった。
なんとも強く逞しい、小さな渡り鳥。

こんな観察がじっくりとできるくらいに、家にこもっていた自分の
心のなかを、今はあまり思い出せない。
ただ、あの燕たちの忙しい命の営みには、救われるところはあっただろう。
隣家の取り壊しがあり、その翌年から、燕たちはどこに巣を求めたのか
ずっと長いこと、春が来る度、気に病んだ。

今年、雨の降り出しそうな今朝、初めて燕が鳴いた。
姿は見えないが、近くの巣で子育てを始めるらしい。
春の新しい燕たちの生活の始まりに、わたしの心も躍った。
東京の、頼もしい燕たち。
ここで生まれ、ここに帰ってきたんだろう。

いつの日か、生まれたところから、また遠く南を目指す燕たち。
歩くことをしない強靭な渡り鳥の燕に、力をもらう。
その力強く必死の鳴き声に、今年も励まされる。
わたしも一生懸命生きて、燕たちを応援しよう。
東京は、今日は雨。






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